盗撮再犯を防ぐには?刑罰は初犯の倍に!再犯率36%を乗り越える予防法

盗撮再犯で捕まるとどうなる?

ニュースなどで取り上げられて周知されているように、盗撮行為を行うと、逮捕・処罰されることがあります。それでは、過去に盗撮行為をはたらき捕まったものが再び盗撮をした場合、初犯のときとどのような違いがあるのかという点についてはご存知でしょうか。ここでは、盗撮再犯における処罰や執行猶予について解説していきます。そして再犯を防ぐためにはどうすれば良いのか、この点も非常に重要になってきます。

盗撮再犯は初犯より重い罰になる傾向

盗撮をすると迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反などにあたり逮捕、そして処罰される可能性があります。さらに、直接盗撮行為について刑法で定められているわけではありませんが、盗撮をするために家に侵入するなどして住居侵入の罪に問われることもあるでしょう。たとえば、電車で女性の胸元をスマホで撮影した場合や、ショッピングモールのエスカレーターでスカート内を小型カメラで撮影した場合などには法令違反で逮捕されるかもしれません。他人の住居敷地内の塀によじ登りビデオカメラでお風呂を撮影した場合などには、さらに住居侵入の罪にも問われることになります。

条例は都道府県ごとに詳細が異なり、正式名称も違います。しかし、内容の多くは共通しており盗撮にあたる行為は禁止されています。罰則も地域差はありますが多くの場合盗撮の初犯であれば「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」となっています。軽犯罪法は法律ですので全国共通で適用され、この法律内で規制されている行為全てに対し拘留または科料という罰則が対応しています。盗撮そのものではなく覗く行為を規制している点が条例と異なり、撮影をしていなかったとしても捕まる可能性が出てきます。刑法に規定がある住居侵入罪では「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」と定められています。もし、盗撮行為でとどめることができず痴漢などをしてしまうと、場合によっては強制わいせつ罪などが該当することもあるでしょう。

多くの場合、盗撮の初犯でいきなり懲役刑が言い渡されることはありません。もちろん、具体的な行為の様態、被害の大きさなどを考慮して決定されますが、それほど悪質でなければ罰金刑が科され、そして罰金刑の場合には手続きを簡略化した「略式手続」によって科せられることがほとんどです。相場としては30万円前後の罰金になると言われています。それでは再犯だとどうなるのでしょうか。

再犯の場合、再犯加重で懲役刑2倍の可能性

まず、初犯であっても再犯であっても、実際に言い渡される刑は具体的な事情等を汲み取って検討されていきますので、機械的に答えを出すというようなことは行われません。しかし、法律で再犯についての規定があり、その裁量の範囲は定められています。それが「再犯加重」の規定です。要は、再犯における刑では、もともと定められている懲役刑を2倍まで伸ばすことができるという内容です。そのため、ここでの条例違反だと1年以下の懲役と定められているところ、これを最大懲役2年の言い渡しをすることが可能になるということです。似た規定は常習犯においても定められており、迷惑防止条例には、同じ盗撮行為であってもこれを常習で行っていると2年以下の懲役が適用できるとあります。常習犯であればたまたま逮捕されたのが一回であっても、その実質は再犯者と変わらないためこうした加重規定が設けられているのです。

執行猶予はつく?

盗撮に限らず、ある犯罪によって逮捕されたときにはどのような刑の言い渡しを受けるかだけでなく、執行猶予の有無が非常に重要になってきます。執行猶予は刑の執行が一定期間猶予され、再犯などもなくその期間を経過すれば実刑を受けずに済むという制度です。宣告刑同様、執行猶予も裁判官が裁量的に検討することになり、行為の悪質性や被害の大小が関係してきます。ただしその前提としていくつかの要件は満たしておかなければなりません。特に再犯においてはその要件が厳しくされており、以下の条件が必要になります。

  • 言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮であること
  • 特に酌量する情状があること
  • 前科につけられた保護観察中に犯した行為でないこと

もしも、盗撮再犯による条例違反で逮捕され2年の懲役刑が言い渡されたとき、もはや実刑を免れることはできません。また、前回の盗撮につき執行猶予をうけている最中に再犯をしてしまった場合には、前回の執行猶予が取り消される可能性が出てきます。

このことも法定されており、特に再犯につき1年以下の懲役であったとしても、この刑を受けることになれば前回の執行猶予は必ず取り消されてしまい、前回と今回の刑期を合わせて実刑を受けることになります。つまり、前回の刑で懲役8月・執行猶予3年となっており、今回の刑で懲役1年が言い渡された場合、執行猶予の取消しによって懲役1年8月となり刑務所に入らなければならなくなります。ただし、今回の刑が罰金刑であれば取り消されない可能性は残されることとなります。

盗撮再犯で執行猶予がついた事例

過去にあった盗撮事件では、常習的に盗撮をしている者が再犯者として逮捕されたものの執行猶予がついたという例があります。この事例では、過去に試着室に小型カメラを設置して盗撮行為を行い逮捕、軽犯罪法違反として科料を科せられていた者がその後さらに常習的に盗撮を行っていました。再び逮捕されましたが過去に禁錮以上の前科はなく反省の態度を示していたということからも更正の機会が与えられ執行猶予がついています。

盗撮再犯で執行猶予がつかなかった事例

上の事例と同じように、盗撮の再犯ではあったものの執行猶予がつけられなかった事例もあります。迷惑防止条例違反で逮捕されましたが、過去に複数回盗撮行為を繰り返しており、さらに逮捕後は犯行を否認、反省の態度もみられないことなどから1年の懲役刑が下されています。

盗撮再犯率は36%超!なぜ盗撮を繰り返すのか

盗撮再犯のデータ

犯罪白書では、様々な犯罪の検挙数や再犯者数などがまとめられており、毎年この情報が公開されています。このデータによると盗撮における再犯率は36%を超えています。盗撮をしたことがばれてしまい逮捕、検挙されたものの、その後再び盗撮をしてしまっている人がこれだけの割合で存在しているのです。検挙された盗撮犯3人のうち、1人は再犯者になっているという計算です。懲役刑が言い渡され刑務所に入る可能性もあるなか、なぜこれだけの割合で盗撮を繰り返してしまうのでしょうか。

再犯を引き起こす要因

盗撮に限らず一般に再犯を引き起こす要因として、特に以下のものが挙げられています。

  • 犯罪経歴
  • 不良交友
  • 反社会的態度や反社会的認知
  • 反社会的パーソナリティパターン

さらに、家族やパートナーとの関係性に問題があること、学校・職場への適応状況が悪いこと、余暇時間の不健全さ、薬物などの物質濫用なども再犯に大きく影響を及ぼすものとされています。これらを理解していかに予防していくか考えていかなければなりません。また、犯罪の内容によってもその傾向は異なってきますので、特に盗撮犯が持つ傾向についても知る必要があるでしょう。次に性犯罪者がどのような心理で犯行をしてしまうのか見ていきます。

性犯罪者の心理

盗撮をすることによってストレスの発散を感じる、ゲーム感覚のようになり病みつきになる、成功体験やスリルが忘れられない、といった気持ちになると言われています。また、重要なことの一つとして「女性は盗撮されることを嬉しく思う」などと認知の歪みがあることも知られています。盗撮をする人だけでなく、性犯罪一般においてもこうした他者との関係性における認知の歪みは関係しています。これに対しては特別な治療を要するものと考えられています。さらに相手に対する支配や優越、復讐や依存といった様々な欲求によっても行われます。

感情が引き起こす性犯罪は再犯を抑えることが難しい

そこで、性犯罪者が逮捕された際「つい魔が差した」「衝動的にしてしまった」「どうかしていた」「性欲が高まって」などと言うことがありますが、実際には計画的であることがほとんどです。事前に人目につかないようにしていることや人ごみに紛れ込むなど、冷静に状況を踏まえて行動していることが多いのです。自覚していないケースも多いためこうした言い分が出てきますが、性犯罪行動を起こすまでには性的空想をめぐらせることで自然と計画を練られていることも少なくありません。実行後もよりばれにくい方法の模索、効率的な手口を見出し、より巧妙な性犯罪行動に至るようになると考えられています。

自力でこれらの感情を抑え再犯をしないようにするのは難しく、特に子どもを対象に性的関心を持つ者は執着が強く犯行の内容も長期的・長時間に渡ること、再犯傾向も強いことが分かっています。児童ポルノに対してはより重い処罰が規定されていますので、自覚のある者は再犯防止のために能動的な活動を起こしたほうが良いでしょう。

盗撮の再犯を防ぐ方法

性犯罪者は病的な傾向にある

盗撮の再犯者、常習者は病気であるという認識も広く持たれています。社会通念的に問題がある、してはいけない行為と分かっていても止めることができないなど、性依存症と呼ばれることもあります。盗撮は性犯罪行動の中でも相手と接触を起こさない行為であるため比較的軽微と考えられますが、エスカレートして暴力的な性犯罪に繋がる可能性も示唆されています。セクハラや覗き行為についても同様です。痴漢や強制わいせつといった接触型の犯行へと移行し強姦、快楽殺人のような高い攻撃性を持つ性犯罪に変化する可能性もあるのです。

日常生活の好転や治療が盗撮再犯抑止のカギ

しかし、日常生活の在り方が好転すればエスカレートするのを止めることも可能です。逮捕や受刑を契機に好転することもありますが、これでは足りず、治療教育による回復プログラムの受講が必要になることもあります。性犯罪者は一生のうち平均して380人以上の被害者を出すとも言われていますので、早期に性犯罪から離脱できるよう、対策を施す必要があります。

そこで、古くから性犯罪者に対しては様々な治療法が試されてきました。しかし痛みを与えるなどの知覚刺激を利用した非人道的な手法が用いられていたこともあり、しかもその効果が不明瞭で、なかなか改善策は見つけられていませんでした。さまざまな過程を経て、認知療法というものが開発され、これはこれまでの精神分析療法のように性嗜好を治療するのではなく人の認知に焦点が当てられています。認知療法では考え方のパターンを変えることが目標とされています。日本においても性犯罪者処遇プログラムの実施が義務付けられ、一定の効果が示されました。性欲を消す方向ではなく、より健全な性的欲求への方向付けを行うほうが回復に効果的であったのです。

こうして、性犯罪から離脱し回復をする可能性は近年の科学的知見からしてもあると言えるようになり、そのためには専門家のサポート、社会的ネットワーク、定期的な集団活動への参加、目標を持つこと、犯罪離脱への一貫した態度が重要視されます。具体的には以下の予防策が挙げられます。

専門の医療機関を利用する

専門家のサポートを得ることは犯罪離脱の一因となり得ます。医師やカウンセラーの力を借り、衝動をコントロールする方法も学びます。

ここで主に行われるのは、以下の3つです。

  • カウンセリング
  • グループミーティング
  • 薬物療法

カウンセリングでは基本的に医師や臨床心理士と1対1になり、グループミーティングのように人前で話をするのが苦手な人でも実施がしやすいです。一方、グループミーティングでは自らの経験や他人の経験を聴くことなどで客観的に自分と向き合うことができ、ものの考え方や受け取り方に働きかけることもできます。グループミーティング以外の手法によっても認知の歪みが治せるよう、様々なプログラムが提供されます。

また、依存症のような精神疾患は生物学的要因や心理的要因、社会的要因など、さまざまな要因が関係していますが、薬物療法によって生物学的要因に働きかけることができます。投薬が行われますので医師との相談を行いながらこうした治療法を採用することもあります。

盗撮をやりにくい環境を作る

盗撮をしたくても行うことが難しくなるよう、その状況を作り出すことも大切です。たとえば、スマホ等のレンズを破壊することや、所有している小型カメラを廃棄することなどは効果があるでしょう。また、破壊などをしなくても、できるだけエスカレーターではなくエレベーターや階段を使うようにすることも良いでしょう。携帯電話の待ち受け画面を家族の写真にしておくことで気持ちを抑止させることも効果があります。

定期的に集団活動に参加することも検討してみましょう。気持ちの変化だけでなく、単純ですが犯罪をする時間を減らすという効果も期待できます。

家族の協力を得る

周囲の環境を変えるという意味でも一緒に暮らす家族の協力は大切です。再犯の要因には家族との関係性も含まれます。可能であれば通勤や通院に付き添ってもらうこと、コミュニケーションを多く採るなどの努力をしましょう。スマホやビデオカメラのデータを常に確認してもらう習慣を作るのも良いでしょう。

盗撮で逮捕された場合にはまず弁護士に相談

盗撮を繰り返してしまいそうと考える人はここで紹介した予防法を試してみると良いでしょう。また、再犯で逮捕されると初犯に比べて重い処罰になる可能性が高いです。

できるだけ軽い罪になるよう、そして執行猶予をつけてもらうためにも弁護士に相談するようにしましょう。弁護士を呼ぶことで早期の釈放や不起訴を得ることなどもできるかもしれません。特にこれらのために重要な示談の交渉なども代わりにしてくれますので、逮捕後はできるだけ早い段階で、刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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