痴漢で逮捕されたら処分はどうなる?会社員・公務員・未成年の生活への影響

痴漢で逮捕されたら

痴漢で成立する犯罪と刑事処分の内容

痴漢で成立する犯罪は主に2つ

そもそも、痴漢行為はどのような犯罪にあたるのでしょうか。

痴漢行為によって成立する犯罪は主に2つあり、「迷惑防止条例違反」と「強制わいせつ罪」になります。「迷惑防止条例違反」と「強制わいせつ罪」の区別はおおまかに言うと下記のようになります。

  • 「迷惑防止条例違反」→服の上から被害者の体を触る
  • 「強制わいせつ罪」→被害者の服の中に手を入れて触る

刑事処分の内容

「迷惑防止条例違反」と「強制わいせつ罪」でどのような刑事処分が設定されているかについて、それぞれ説明します。

「迷惑防止条例違反」の刑事処分

迷惑防止条例違反の場合は、地域や違反内容によって変わってきますが、東京都や愛知県、大阪府などで痴漢行為を行った場合の刑事罰は「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」と定められています。

このように、迷惑防止条例違反であっても、逮捕されて起訴されると、懲役または罰金の判決が下される可能性があり、その場合には前科がつくことになります。

「強制わいせつ罪」の刑事処分

強制わいせつ罪の刑事罰は「6月以上10年以下の懲役」と定められています(刑法176条)。

迷惑防止条例違反の場合は、罰金刑もあるため略式起訴になる場合もあります。それに対して、強制わいせつ罪は懲役刑のみとなり、初犯の場合には執行猶予がつくこともありますが、悪質と判断されれば懲役の実刑処分となることもあります。

刑事処分のまとめ

迷惑防止条例違反 強制わいせつ罪
痴漢行為の内容 服の上から被害者の体を触る 被害者の服の中に手を入れて触る
刑事罰 懲役または罰金(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金) 懲役刑のみ(6月以上10年以下の懲役)

このように、「迷惑防止条例違反」と「強制わいせつ罪」では、大きな差が出てきますので、逮捕された段階で、すぐに弁護士に相談をするべきでしょう。

どのように痴漢で逮捕・勾留されるのか

逮捕までの流れ

痴漢で逮捕されるきっかけになるのは、車内や駅のホームなどで被害者の女性から痴漢行為をしたと言われて、駅事務室まで行くという場合が多いです。駅事務室まで行くと、被害者とは隔離されるので、話し合う事もできず、やってきた警察官に管轄の警察署につれていかれます。警察署では、被害者に現行犯逮捕されたとされ、身柄を拘束されることになります。

また、被疑者の男性が女性の衣服や下着などを触ったことの客観的な証拠を得るために繊維鑑定が行われることもあり、粘着力のあるテープを手に押し付けて、手に付着している繊維を採取される場合もあります。

警察署では、取り調べが行われ、被疑者の話を聞いた警察官によって調書の作成が行われ、署名と指印を押すように言われます。ちなみに、調書への署名・指印は、任意で行うもので、納得できない点があるときには、署名・指印を断ったり、訂正を求めることができます。

警察は逮捕してから48時間以内に、被疑者を検察庁に送致するか、釈放するかを判断しなければなりません。そのため、通常は逮捕された日の翌日に、検察庁に送致され検察官との面会が行われることになります。

勾留までの流れ

検察庁では、検察官が被疑者を勾留請求するか、釈放するかを判断します。ここでは、被疑者が犯行を認めているかや、逃亡の可能性、身元などが判断基準となります。

勾留請求がされた場合には、被疑者は裁判所にて裁判官から簡単な質問をされ、裁判官が証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断すれば勾留決定が出され、ないと判断されれば釈放されることになります。裁判実務上は、被害者が痴漢被害を証言しており、被疑者が否認をしているような場合には、勾留される可能性がかなり高くなります。

勾留とは、被疑者の身柄を拘束する処分で、勾留されている間は拘置所や留置所といった施設での生活をすることになります。被疑者の勾留期間は通常は10日間ですが、被疑者が容疑を否認している場合などには、検察官の請求によって最大10日間の延長がなされることがあります。

逮捕・勾留までの流れのまとめ

被疑者が逮捕され、勾留されるまでの一般的な流れをまとめると下記のようになります。

  1. 車内や駅のホームなどで被害者の女性が痴漢行為を指摘し、駅事務室へ
  2. 警察官に管轄の警察署まで連れていかれる
  3. 警察署では、被害者に現行犯逮捕されたとされ、身柄を拘束
  4. 48時間以内に検察庁に送致(場合によっては釈放)
  5. 検察官が被疑者を勾留請求(場合によっては釈放)
  6. 裁判官が勾留決定(場合によっては釈放)
  7. 最大20日間、拘置所や留置所での生活

痴漢で逮捕されたときの、生活への影響

痴漢で被疑者となる男性には、決まった職場や学校、家族などがあることが多いです。ここまでで紹介したように、痴漢で逮捕されると、勾留までの手続きや、最大20日間の拘置所や留置所といった施設での生活をすることになります。このような事になると、これまで営んできた社会生活に重大な影響を及ぼす可能性が高くなります。ここからは、会社員・公務員・未成年が痴漢で逮捕された場合の、生活への影響を説明します。

会社員が痴漢で逮捕された場合

会社員が痴漢で逮捕された場合に、社会生活について主に心配になる点としては、「会社をクビになってしまわないか」、「会社や、同僚に知られてしまわないか」という2点になると思います。また、冤罪の場合にはどのような対応をすべきでしょうか。

ここでは、この3つについて説明します。

痴漢で逮捕されると会社をクビになる?

痴漢で逮捕されると、すぐに会社をクビになってしまうと思う方も多いと思いますが、逮捕されただけで会社から解雇処分がされたとしても、無効な解雇処分になることが多くなります。逮捕されただけでは、有罪が確定したわけではありません。そのため、ただ逮捕されたということのみで、解雇処分がされた場合には、無効を主張することが可能になります。

しかし、社員が罪を犯して逮捕され、有罪が確定した場合には懲戒解雇をするというように、解雇事由として定めている会社も多く、有罪が確定すると解雇処分が正式に下される可能性が高くなります。

そのため、解雇を避けるために、無罪を獲得したいと考えるかもしれませんが、現実的には、冤罪であったとしても、起訴されると無罪を獲得するのはかなり難しくなりますので、不起訴を勝ち取ることが重要になります。不起訴処分を勝ち取る主な方法としては、「被害者との示談を成立させる」または「証拠の薄さや、無罪を示す証拠があることなどを主張する」という2通りの方法があります。

不起訴を勝ち取るには、起訴直前に動き始めるのではなく、逮捕された際や勾留決定のタイミングなど、早めに動き出さなければなりませんので、早めに弁護士と解決の方向性を決める必要があります。

会社や、同僚に知られてしまう?

痴漢で逮捕されると上で説明したように懲戒処分を受けることもありますが、そもそも会社に知られなければ問題ないと考えるかもしれません。実際に、痴漢で逮捕されたことが、会社に知られてしまうかどうかをここでは説明します。

警察から会社への連絡

まず心配になるのが、警察から会社への連絡がされてしまうかどうかです。

これについては、逮捕された際に、家族や弁護士などに連絡することができないような場合でなければ、警察から会社に連絡がいくことはありません。家族にすぐに連絡がつかない場合などは、職場への連絡が行われる可能性もありますので、弁護士にすぐ依頼するなどしましょう。

会社から欠勤の理由を聞かれる

逮捕・勾留された場合には、会社を欠勤しなければならなくなります。無断欠勤をしてしまうと、会社から家族に連絡が行ってしまい、欠勤の理由が伝わってしまう場合や、無断欠勤自体が解雇処分の理由になってしまう場合もあります。

どうしても、会社に痴漢で逮捕されたことを知られたくないような場合には、ひどい体調不良で本人は連絡できる状況ではないなどと、家族などから会社に伝えてもらうのも1つの手になります。

ただし、勾留をされると、欠勤も長期にわたることになってしまい、言い訳も苦しくなってきてしまいますので、逮捕されたときには、すぐに弁護士に連絡して、勾留をされないように動いてもらう必要があります。

マスコミの報道

マスコミに実名報道されると、インターネット上にも出てしまい、会社や同僚など、広く知られてしまうことになります。

マスコミが痴漢事件を実名報道するかどうかの明確な基準はありませんが、弁護士や医師などの国家資格所有者や、芸能人などの著名人でなければ報道されることはほぼありません。ですので、一般的な会社員の、通常の痴漢事件であればマスコミに報道されることは低いといえるでしょう。

痴漢冤罪事件を戦う場合

冤罪の場合にも、不起訴になるよう動いたり、会社に知られないよう対応することは有効な対処法と言えます。ただ、冤罪の場合には、できる限り戦って疑いを晴らした上で不起訴を勝ち取りたいと思う方も多いでしょう。

痴漢冤罪事件を戦うことはかなり大変なことではありますが、痴漢冤罪を題材とした映画などもあるなど、世間の痴漢冤罪への理解も進んでおり、職場や家族の理解を得られることも多くあります。

会社への協力要請

容疑を全面否認して、勾留決定がされると職場を長期欠勤せざるを得なくなります。その場合には、職場に与える影響も大きくなりますので、会社に理解・協力してもらえるよう働きかける必要が出てきます。

職場に対しては、家族や弁護士と協力して、解雇をしないようお願いをしたり、目撃者の捜索などの協力をお願いすることになります。しっかりと被疑者が無罪を主張していることや、現状の物証などの状況などをしっかりと伝えることで、会社や上司、同僚らの理解・協力を得られる場合も多くあります。

証拠収集や再現実験

痴漢冤罪では、捜査機関が無罪につながる証拠を積極的に集めることはほとんどないので、家族や弁護人が証拠などを収集する必要があります。主な証拠には以下のようなものがあります。

  • 目撃者や、駅や車内の防犯ビデオ
  • 被害者の衣服や持ち物
  • 被疑者の衣服や持ち物

これらの証拠から矛盾点などがあれば、再現実験のビデオなどを作成することも有効になります。

前科がついた場合の就職

有罪が確定した、会社から懲戒解雇をされてしまった場合には、次の仕事を探すことになると思います。その場合に、前科がどのような影響を与えるのでしょうか。

前科を一般の企業が知ることはできませんし、前科を履歴書に記載したり、面接で申告することは通常必要ありません。しかし、前科の有無を質問されたり、一部の職業では身元調査等が行われることもあります。

そもそも、弁護士が示談を成立させるなどして、不起訴になれば前科はつきませんので、逮捕された際には早めに弁護士に連絡しましょう。

公務員が痴漢で逮捕された場合

公務員が痴漢で逮捕されると、生活にはどのような影響が出てくるのでしょうか。

上で紹介した、冤罪事件として戦う場合の対応については、会社員の場合とほとんど変わりませんが、職場への連絡や、職を失うかどうかについてなど、その他の部分では違いが出てきます。

職場への連絡と、マスコミの報道

会社員の場合は、職場への連絡が行われるのは家族などへの連絡がつかない場合だけでしたが、公務員が痴漢の容疑で逮捕された場合には、家族と連絡がついた場合であっても、警察から勤務先への連絡が行われることも多く、勤務先へ知られてしまう可能性は高くなります。

また、上で会社員の場合には、報道の可能性が低いと書きましたが、公務員の場合は報道機関によって取り上げられる可能性も出てきます。

起訴され有罪判決となった場合

会社員が解雇処分になるかどうかは、会社の判断や規定が大きくなりますが、公務員の懲戒については、国家公務員法と地方公務員法など、法律で定められています。

起訴された場合

公務員が痴漢で逮捕され、起訴された場合には休職となります。この休職期間中には給料が出ませんので、大きな負担となってきます。

禁固刑以上の有罪判決となった場合

有罪判決になると、確定した刑によって処分が変わってきます。死刑、懲役刑、禁錮刑といった禁固刑以上の有罪判決となった場合には、執行猶予が付いたとしても、失職することになり、当然ですが、退職金などももらえません。

強制わいせつ罪は懲役刑のみでしたので、強制わいせつ罪で起訴されると、無罪を勝ち取らない限りは、職を失うことになります。

罰金刑などの有罪判決となった場合

それ以外の、罰金刑、拘留刑、科料刑の有罪判決となった場合は、懲戒処分として免職、停職などを受けることになります。地方公務員の場合は、懲戒処分の内容が地方公共団体ごとに異なってきます。

このように、有罪判決が懲役刑か罰金刑によって、公務員に対する処分に大きな違いが出てきまので、強制わいせつ罪か迷惑防止条例違反のどちらで起訴されるかが重要になってきます。また、そもそも、有罪判決を受けないためにも、弁護士に被害者との示談を進めてもらうなどして、不起訴の獲得を目指すべきでしょう。

未成年が痴漢で逮捕された場合

大学生や高校生などといった未成年が痴漢で逮捕されると、生活にはどのような影響が出てくるのでしょうか。

未成年の場合は、主に学校との関係が生活に大きな影響を与えますので、その点を中心に説明していきます。

未成年であれば逮捕されない?

未成年であれば逮捕されることはないと思っている方もいますが、14歳以上の未成年には、成人と同様の刑事責任能力が認められますので、成人と同様に逮捕されることになります。

14歳未満の場合には、刑法で「14歳に満たない者の行為は、罰しない」とされていますので、警察に逮捕されることはありませんが、児童相談所から家庭裁判所に送致され少年院に入れられる場合もあります。

学校への連絡と、マスコミの報道

逮捕された未成年が学校に通っている場合は、学校への連絡が気になると思いますが、会社員の場合と同じく保護者などの家族と連絡が取れた場合には、学校に警察から連絡することは少ないです。

しかし、学校・警察相互連絡制度という制度が実施されており、警察から学校に連絡が入り、逮捕されたことが学校に伝わる可能性もあります。学校への連絡を避けたい事情などがある場合には、弁護士から警察に対して、学校への連絡をしないように申し入れることになります。

また、マスコミの報道については、被疑者は未成年ですので、痴漢容疑であれば実名報道されることは考えられません。

逮捕後の流れ

逮捕されてから勾留されるまでの流れは、未成年であっても同様の流れで進むこともありますが、未成年の場合は、逮捕後は拘置所や留置所で勾留されず、鑑別所に移送されることが多くなります。

鑑別所に移送された後は、家庭裁判所が少年審判を行うかの判断をします。少年審判は、成人の場合の裁判と同じ位置づけで、未成年者への最終的な処分がここで決められることになります。

少年審判で決められる処分は下記の7つになります。

  • 審判不開始・不処分決定
  • 保護観察処分
  • 試験観察処分
  • 少年院送致
  • 児童養護施設・児童自立支援施設送致
  • 都道府県知事・児童相談所長送致
  • 検察官逆送

学校を退学になってしまうか

学校を退学処分になるかどうかの処分については、それぞれの学校側の判断になりますので、一概にどのような処分になるのかは言えませんが、義務教育の公立中学校・小学校でなければ、退学処分となるケースもあります。

退学を避けるためには、鑑別所での観護措置をとらないように働きかけるなどして、なるべく早く通学を再開できるように動いていく必要があります。また、弁護士から、退学にならないように、反省の度合いなどを学校の教師など説明してもらうことで、学校側が退学処分をしない場合もあります。

痴漢で逮捕されたら、すぐに弁護士に相談しよう

会社員・公務員・未成年で逮捕後の流れなどはそれぞれ違いましたが、痴漢で逮捕されると「会社を解雇される」、「公務員の職を失う」、「学校を退学になる」など、これまで営んできた社会生活に破壊的な影響が与えられる可能性があります。共通するのは、弁護士に逮捕の初期段階から対応を依頼することによって、社会生活への影響を最小限に抑えることができるという点です。

自分や家族が逮捕されることは、多大な精神的ショックとなりますが、早期に弁護士に依頼することで、スムーズな社会復帰をすることにもつながりますので、自分や家族が逮捕された際には、すぐに刑事事件に強い弁護士へ連絡しましょう。

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